2004年11月18日

寄せられた意見の分析【1.著作物の定義】関連

《総論》

 積極的に賛成票が投じられた細目はほとんど無く、やや反対票が多い(1)及び(3)はいずれも経産省が慎重姿勢であるため、細目(1)〜(6)には直ちに議題とされそうな内容は無さげ。
 いくつかの細目に共通している点は、他の法律(意匠法不正競争防止法など)で既にカバーされているものを著作権法でカバーして欲しいと言う意図であり、プログラムが既にこれを実践(著作権法特許法)している為に「我も我も」状態に成りつつある点は注意が必要。
 他方、新規の対応する細目が無い要望では現行法の「映画著作物」が拡大解釈され過ぎる傾向をそれぞれに理由は異なるものの懸念する意見が挙げられている点は注目に値する。

各団体からの要望 寄せられた意見

《細目別》

(1)団体要望数:4 賛成:2 条件付賛成:2 慎重:1(+経産省) 反対:10


 登録を要件とする意匠法とのバッティングを理由に反対する意見が主。経済産業省は
デザイン創作のみを製品・商品開発プロセスより単独で切り出して保護することは、デザイン創作時の創作者の権利と事後的に付加されていく製造事業者の権利とのバランスを失するものとなるおそれがある

との理由により慎重

(2)団体要望数:1 賛成:2 慎重:2 反対:1

 賛否が拮抗。ただ、録画ネットに対する仮処分決定が意見募集開始当日に有った割に関心は薄い。なお、この要望は現在、国際小委員会で議論されているWIPO放送権条約が密接に関係して来る。

(3)団体要望数:1 条件付賛成:1 慎重:2(+経産省) 反対:11

 経産省が慎重な理由は(1)に同じ。とは言え「著作権法は『発想』でなく『表現』を保護する」と言う大原則を真っ向から覆しかねない要望であるうえ、海外へのノウハウ流出は国内法をいくら堅牢にしても無意味だと言う指摘がもっとも過ぎる以上、著作権法でこれが実現する確率は0に近そうである(むしろ、不正競争防止法の改正で対応する形が現実的)。

(4)団体要望数:1 条件付賛成:1 慎重:4 反対:5

 著作物の定義以前に要望の「学習システム」の定義がわかりづらい難点があるうえ、(3)と同様に一種の「『発想』保護」的な側面があるため著作権法による実現性は低いと見られる。

(5)団体要望数:1 条件付賛成:1 慎重:1 反対:1

 実演家の著作隣接権拡大ないし肖像権保護が本要望の潜在的意図であると思われるが、権利処理の煩雑化を招く問題点も予想されるので実現は困難であろう。

(6)団体要望数:1 慎重:4 反対:7

 これもまた映画著作物が著作権法上の特権的地位を占めている弊害と言うべきか。「二次的著作物に対する原著作権者の権利を現行の禁止権から報酬請求権に弱めることで解決する」と言う提案が何点か出されている。

《細目外の意見》

 映画著作物が著作権法上の特権的地位を占めている点に関する意見が6点。それぞれ「判例によりひたすら拡大解釈されている映画著作物の範囲を明確化すべき」「一般的著作物の例示に『動画著作物』を新設し、現行の『映画著作物』は劇場での上映を前提にしたものに限定すべき」「2002年4月25日の最高裁判決に基づき『ゲーム著作物』を定義し『映画著作物』から分離すべき」と言うもので、このうち『ゲーム著作物』分離は日本映像ソフト協会ないしその会員企業関係者から提出されているようである(「パックマン事件のせいで迷惑してんだ!」ってか)。しかし「映画著作物の未使用部分フィルムは映画著作物には該当しない」と言う判例も存在することを考えると「動画著作物」を一般定義し、その一部を本来的「映画著作物」に限定する方がわかりやすさの面で優れている点は動かせないであろう。また、現行法の「映画著作物」は法人(ないしその連合体による)著作であるにしていることや物(媒体)に固定されていることが要件とされているのに対して、一般カテゴリ「動画著作物」ならば言語や美術と同様に「個人著作物で物に固定されていない表現」(例えばFLASHムービー)が現実に登場している状況にも対応可能である(当然ながら、現行の映画著作物に与えられている種々の特権は認められない)。第1回法制問題小委員会で出席者から(恐らく、著作権全般の70年への延長を念頭に)行われた問題提起は一般カテゴリ「動画著作物」を創設し、その期限を「個人の場合、著作者の死後50年」にすることで解決する。
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Excerpt: ※(7)〜(9)は後日掲載予定 (10)団体要望数:1 賛成:46 反対:2  最初に、(10)の要約を「書籍・雑誌の貸与権の報酬請求権化」とするのは正確ではない点が募集時から指摘されている点に言..
Weblog: 著作権満正要望のパブリックコメントを追跡する
Tracked: 2004-11-19 18:17
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