2004年11月18日

寄せられた意見の分析【2.著作者の権利】関連(10)〜(16)

各団体からの要望 寄せられた意見

(10)団体要望数:1 賛成:46 反対:2
 →【関連するエントリ】コミックレンタルだけが対象じゃない──貸与権が招く最悪の事態

 最初に、(10)の要約を「書籍・雑誌の貸与権の報酬請求権化」とするのは正確ではない点が募集時から指摘されている点に言及する必要が有る。厳密には貸与権の対象をWIPO著作権条約において定められている品目に限定すること及び、書籍・雑誌の貸与権の報酬請求権化」とすべきであろう(ちなみに反対意見2票はいずれも前段部分に反対する内容である)。
 ところで、賛成意見のうち過半数の24票は以下に記すワープロ打ちの同一文面である。
※要望事項(10)について

 書籍・雑誌等の貸与については禁止権ではなく報酬請求権に留めるべきである。

 前回の著作権法改正により、書籍・雑誌の貸与に対しても著作権者に貸与権を付与することとした際に、著作権者側は、書籍等のレンタルを禁止するつもりはない等とておきながら、上記改正法が施行される平成17年1月1日が目前だというのに、コミックレンタル店で利用するコミックのほとんどの著作権者からの許諾がとれておりません。
 仮に、このまま上記改正法が施行された場合には、貸本業者はすべて廃業するか刑罰を受けることを甘受するかという選択を迫られることになり、結果として、現在のレンタル店の主な利用者である数多くの子供たちにとっては、地元の公立図書館が収蔵しない類の書籍については、手にする機会も大幅に減少し、それはコミック文化の衰退を招くことにもなりかねません。
 我々は、コミックレンタルの収益の一部を還元することには賛同致しますが、改正法が「貸本業撲滅」という事態につながることは看過することができません。したがって、上記改正法の施行日である平成17年1月1日までに、レンタル店が取り扱う全著作権者から許諾を得ることができないのであれば、書籍・雑誌の著作権者から貸与禁止権を取り上げる立法を行うことが必要となります。よって、私は意見(10)の趣旨に賛成します。
以上
 上記の文章は小倉秀夫弁護士の意見をテンプレートにしているものとみられる。
 後段の部分については、前回の著作権法改正により書籍・雑誌の貸与に対しても著作権者に貸与禁止権を付与することとした際に、著作権者側の代表は、書籍等のレンタルを禁止するつもりはない等といって国民や国会議員を安心させておきながら、上記改正法が施行される平成17年1月1日が目前だというのに、「こことライセンス契約を結べば書籍・雑誌について合法的にレンタル業を営むことができる」という組織ができあがっていません。このまま上記改正法が施行された場合には、貸本業者はすべて廃業するか刑罰を受けることを甘受するかという選択を論理的には迫られることになります。書籍・雑誌等は、著作権者側で理想の読者として想定する高額所得者だけが享受すればよいというものではないことはいうまでもないことでありますが、このままでは、地元の公立図書館が収蔵しない類の書籍について、低所得者や子供たちはこれを閲読し、それをその精神の発展に活かすことができなくなります。もともと文化庁やコミック作家等は、レンタルコミックなどの収益の一部を漫画家に還元すべきといって国会議員を説得して法案を通したのに、改正法が「貸本業撲滅」という、国会が予定していない事態を生じさせることになってしまいます。そのような事態は可能な限り回避すべきであり、したがって、上記改正法の施行日である平成17年1月1日までに「こことライセンス契約を結べば書籍・雑誌について合法的にレンタル業を営むことができる」という組織が成立する見込みがないのであれば、書籍・雑誌の著作権者から貸与禁止権を取り上げる立法を行うことが必要となります。よって、私は(10)の後段に賛成します。

(11)団体要望数:1 賛成:4 条件付賛成:1 慎重:1 反対:1
(12)団体要望数:3 賛成:2 慎重:1

 映画に限らず法人著作制度廃止はかねてから議論されているところであるが、一長一短な面が有り早期に結論が出る気配は無さそうである。むしろ大分類1の関連で提案されていた一般カテゴリ「動画著作物」の創設で対応可能な面も有るのではないか?

(13)団体要望数:1 条件付賛成:3 慎重:3 反対:20

 大分類2中、2番目の焦点である「大量複製物に対する展示権」であるが、これを実行した場合の影響は貸与権と比較した場合「広く、薄く」が特徴になりそうである。つまり「一般の食堂や理容店・医院の待合室に備え付けの書籍や雑誌はどうなるのか。それをことごとく禁止した場合、多くの人々が本に接する機会を奪うことになり、結果的に著作権法第1条の目的に反するのではないか」と言う問題点である。
 なお、2004年5月に日本複合カフェ協会(JCCA)が暫定合意を締結しており、今後はこの暫定合意の運用次第と言うことになりそうである。とは言え、世の中に法律上の根拠が無くても「信義則」的に実行されていることはいくらでも有るので、貸与権においては全く顧みられなかった「法律上の根拠を与えた場合の負の側面」に注視しつつ暫定合意の運用を続けていただきたいと願う。

(14)団体要望数:1 慎重:3(+経産省) 反対:6

 経産省の意見ではごく簡略にしか説明されていないが、本要望の根拠となっているベルヌ条約第14条の3に規定される「追求権」に関しては、日本では権利行使の前提たる公売制度が存在せず取引の監視に多額の経費を要することがネックとなっているばかりでなく、権利を認めている国(ドイツ・フランス・イタリアなど)でも近年、資源配分の歪みが問題となっている。
 なお、この権利は「著作物の原作品」のみが対象であり、複製物には適用されないことが国際的合意事項となっている。この権利を足掛かりに大量複製物に関しても権利の消尽を否定する論拠を得ようなどとは、ゆめゆめ考えてはならない。

(15)団体要望数:1 賛成:1
(16)団体要望数:1 賛成:2

《細目外の意見》


(11)に関連する内容で「下請者に原権を帰属させるべし」と言う意見や、どちらかと言うと大分類3に該当する(が、著作権法の目的にはそぐわない)アクセスコントロール権などの要望が提出されている。
posted by PublicComment at 02:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 解説・資料 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Posted by Dolly Parrish at 2007年12月16日 02:27
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