2004年11月18日

寄せられた意見の分析【4.著作権等の制限】関連(51)〜(85)

各団体からの要望(51)〜(85) 寄せられた意見・4-1 4-2 4-3 4-4 4-5 4-6

(51)団体要望数:2 賛成:20
(52)団体要望数:1 賛成:16 条件付賛成:1
(53)団体要望数:5 賛成:22 条件付賛成:1 慎重:2 反対:3
(54)団体要望数:2 賛成:15 慎重:1 反対:1
(55)団体要望数:2 賛成:18 慎重:1
(56)団体要望数:3 賛成:17 条件付賛成:1 慎重:1


 図書館他の施設における複製・公衆送信の緩和。本来ならばここに挙げられている要望の大半がフェアユースに属するものと考えられるが「日本は成文法主義だ! 英米法の判例主義に基づくフェアユースなど断固拒否する!」と言う石頭の大先生が学界内で大手を振っている間はこのように細分化された適用除外拡大を主張するも止む無しか。

(57)団体要望数:6 賛成:1 条件付賛成:1 慎重:2 反対:20
(58)団体要望数:1 賛成:1 慎重:2 反対:23
(59)団体要望数:1 慎重:3 反対:11
(60)団体要望数:1 条件付賛成:1 慎重:2 反対:8
(61)団体要望数:3 賛成:1 慎重:2 反対:22


(51)〜(56)とは対照的に、主に出版業界による図書館サービスの制約強化を求める要望。(57)などは出版事業の素材たるノンフィクション作家やジャーナリストの活動をも否定するが如き愚の極みであるようにしか思えないし、(58)・(59)・(61)などは明白な「『知る権利』の阻害」そのものである。出版業界がこのような要求をすると言うことが如何に憲法で保障された言論・表現の自由を貶めるばかりでなく、公権力による言論・表現・思想・良心の自由を狭める介入を正当化する為の口実を与えているかを関係者一同、真剣に再考すべきではないか。

(62)団体要望数:1 賛成:2
(63)団体要望数:1 賛成:3 慎重:1


 教育に関する制限。2003年改正で同時送信に関する制限は創設されたが、ほとんど活用されていない(そもそも、権利者代表中心だった当時の法制問題小委員会は権利制限を活用させる気など無く、アリバイ的に「権利制限規定創設」を行ったに過ぎない)。

(64)団体要望数:3 賛成:1 慎重:2 反対:9
(65)団体要望数:1 賛成:3 慎重:1(+文科省) 反対:2


 出版業界も音楽業界に触発されてか補償金に飢えているようである。しかし、ただでさえ少子化が進む中で教育に投じられる予算が大幅に増加するでも無く、それに追い打ちを掛けるかの如き義務教育国庫負担廃止が取り沙汰されている中で出版業界に投げ銭など出来る訳が無い。著作権法改悪などしなくとも、交付額の3割しか使用されていない児童図書整備費を満額、図書購入に充てるだけでどれだけの収入増が見込めることやら。

(66)団体要望数:2 賛成:9(+経産省) 条件付賛成:2
(67)団体要望数:8 賛成:10(+経産省厚労省) 条件付賛成:2
(68)団体要望数:1 賛成:7(+経産省
(69)団体要望数:1 賛成:8(+経産省
(70)団体要望数:1 賛成:7(+経産省厚労省) 条件付賛成:1
(71)団体要望数:4 賛成:8(+経産省厚労省) 条件付賛成:1
(72)団体要望数:1 賛成:8(+経産省) 条件付賛成:1
(73)団体要望数:1 賛成:8(+経産省厚労省) 条件付賛成:1
(74)団体要望数:1 賛成:8(+経産省
(75)団体要望数:1 賛成:9(+経産省) 条件付賛成:1
(76)団体要望数:1 賛成:8(+経産省


 障碍者福祉に関連する制限事項。表立った反対は無いが、可能であれば現行の37条及び37条の2を米国著作権法のChafee修正条項に準拠した包括的規定に改めることも検討すべきかも知れない(但し、文化庁及び著作権分科会は「脱法行為のおそれ」などを理由に包括的規定の創設には否定的)。

(77)団体要望数:1 条件付賛成:1 慎重:2 反対:15

 非営利・無償上映は2003年に分科会中間報告で廃止が答申されたが技術的問題や与党の一部に反対論が有ることから見送られたままとなっている。文化庁は「ベルヌ条約違反の可能性が有る」と主張していると言うことだが……。

(78)団体要望数:1 賛成:6 条件付賛成:1 慎重:2 反対:2

 これも(51)〜(56)同様、本来ならばフェアユースの範疇と考えられるが要望の記載事項だけでは説明が不十分な面も否めない。

(79)団体要望数:1 賛成:5 条件付賛成:1 反対:3
(80)団体要望数:1 賛成:12 条件付賛成:4
(81)団体要望数:1 賛成:9 条件付賛成:4

 →【関連するエントリ】コミックレンタルだけが対象じゃない──貸与権が招く最悪の事態

 いずれも38条に関連する要望。いくつかの意見でも指摘されているように「目的が何で有っても、外形的に金銭の授受が存在すれば38条は適用されない」と言うのが今年9月28日の最高裁による判断であって、38条の要件を金銭の授受如何に関わらず「目的」中心へ転換するのは急務と言えるのではないか。殊に、(80)(81)が懸念する貸与権の問題に関しては「著作権分科会の怠慢が引き起こした最悪の状況」であると言っても過言では無い。

(82)団体要望数:1 賛成:1 慎重:3 反対:13

 いわゆる「公貸権」制度の足掛かり的な要望であるが、要望の文面から利用者性悪説が色濃く感じられる点への嫌悪も有り、反対が優勢。

(83)団体要望数:4 賛成:3(+経産省厚労省 慎重:1 反対:4
(84)団体要望数:1 賛成:3(+経産省厚労省 慎重:1 反対:2
(85)団体要望数:5 賛成:4(+厚労省 慎重:1 反対:4


 法制問題小委員会で複数の委員から提案され、特に反対する意見も出なかったことから検討課題に盛り込まれる見通しである行政手続に関する制限。もっとも、フェアユース規定創設の一例と定義することが可能なことや出版業界関係者からの反対が散見されることが今後の課題となりそうではある。
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