2005年01月24日

「永遠-1日」がいい?──延長され続ける著作権

 このトピックで提起されている内容に対する意見は以下の宛先へ。

〒100-8959(住所不要) 文化庁長官官房著作権課 御中 ※クリックでメーラー起動
TEL:(03)5253-4111(文部科学省代表)
FAX:(03)6734-3813

〒100-6011(住所不要) 知的財産戦略推進事務局 御中 ※クリックでメール送信フォームへ
TEL:(03)3539-1836
FAX:(03)3502-0087


 2003年、映画著作物(大部分のゲームソフトなども含む)の法人著作権が20年延長されて「公表後(未公表の場合は作成の時点から)70年」になりました。この時の著作権分科会報告では、著作者の死後を起算点とする個人著作物が大半を占める文芸・美術・音楽などに関しては延長に否定的な見解が示されていますが、1998年にいわゆる「ミッキーマウス延命法」で「個人著作物は死後70年・法人著作物は公表後95年」(「永遠-1日」とも表現される)と言う極めて長期間の著作権延長を実行したアメリカ政府やハリウッドを中心とした産業界からは、日本もこの基準に合わせて著作権を延長するように強く要望されているのです。
 著作権に関する国際条約であるベルヌ条約では、第7条で条約加盟国の著作物を最低限「個人著作物の場合は死後、映画著作物は公表後50年間」保護することを求めています(一部例外アリ)。それ以上の延長は、第6項により加盟国が任意で定めることが可能(上限ナシ)ですが、これは条約上の義務ではありません。
 原点に立ち返って考えると、著作権を延長することに何かメリットはあるのでしょうか?

 権利者(個人よりも映画会社や業界団体であることが多い)側の言い分は「より長期間、著作権を行使して利益を上げることが可能になりその利益を新しい作品の提供に投資することが可能になる」と言うものでしょう。しかし、よく考えてみてください。今から51〜70年前に公開されていた映画のうち、現在でも映画館で見ることが可能な作品はほぼ0に近いはずです。DVDが市販されている作品や、図書館やレンタルビデオ店に置いてある作品、テレビで放送される作品ならもう少し確率は高くなるでしょうが、それでも51〜70年前に公開されていた作品の「ほんの一部」でしかありません。著作権を一律に延長すると言うことは本来、著作権が切れて自由に公開できるようになったはずの作品が、たまたま同時期に公開されたごく少数の極めて長期にわたって商業的価値を有する作品──ミッキーマウスに代表されるような──を「延命」させるために日の目を見なくなってしまうことなのです。
 この「ミッキーマウス延命法」は憲法違反であると言う訴訟がアメリカで起こされました。NHKスペシャル「変革の世紀・第3集-“知”は誰のものか?-」(2002年7月14日放送)でも取り上げられていたので、記憶されている方も多いはずです。結局、この訴訟は2003年1月15日の連邦最高裁による合憲判決で原告側の敗訴が確定しましたが、今なお世界レベルで様々な議論や提案が巻き起こっています。
 翻って、日本では「青空文庫」を始め著作権が消滅した作品をネット上で公開するプロジェクトも盛んですが、もし著作権が一律に20〜70年(延長を要求する意見の多くはJASRACを中心に「+20年」だが中には「+70年」、つまり「120年」と言う要求まで存在する)もの長期にわたって延長されようものならこうした活動は全て、その存在意義を否定されることを意味します。
 それが著作権法第1条に謳われる「文化の発展に寄与」することなのかどうか、真剣に考えるべきではないでしょうか。

参考‥

山形浩生『著作権の「危機」って何だ』(asahi.com「be」2003年6月21日付)
「長すぎる著作権保護の被害者は、我々の子どもたちだ」(asahi.com・2004年9月24日付)

【関連するエントリ】L.Lessig教授の講演(FLASHムービー)
posted by PublicComment at 00:00| Comment(3) | TrackBack(1) | 要望のテーマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
kjhsdkjahkjsda
Posted by sdasd at 2006年03月22日 13:53
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Posted by ホームページ制作 at 2012年04月19日 19:02
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