どうして? 日本だけ異様に厳しい「同一性保持権」: 知的財産推進計画改訂のパブリックコメントを提出する

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2005年01月24日

どうして? 日本だけ異様に厳しい「同一性保持権」

　このトピックで提起されている内容に対する意見は以下の宛先へ。

〒100-8959（住所不要）　文化庁長官官房著作権課御中 ※クリックでメーラー起動
TEL:(03)5253-4111(文部科学省代表)
FAX:(03)6734-3813

〒100-6011（住所不要）　知的財産戦略推進事務局御中 ※クリックでメール送信フォームへ
TEL:(03)3539-1836
FAX:(03)3502-0087

　著作権法第20条（同一性保持権）では「著作者の意に反して」行う著作物の改変を原則的に禁止しています。その結果、ゲームソフトの改造ツールを巡る裁判で諸外国と比較して異様に厳しい判決が相次いで下されるなど「趣味の範囲」がひどく狭いものになってしまうことが懸念されています。

　同一性保持権は、公表した著作物を第三者の手で勝手に改変されないための権利です。但し、第2項でいくつかの例外があり

一　第三十三条第一項（同条第四項において準用する場合を含む。）、第三十三条の二第一項又は第三十四条第一項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの
二　建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変
三　特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変
四　前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変

の場合には適用されません。しかし、裁判などにおいて四の「やむを得ないと認められる改変」に認定されることはほとんど有りません。特に、海外ではフェアユース規定により合法と判断されている形態を含めてゲームプログラムの改造ツールに対して日本の裁判所は異様なほど厳しい態度を取っています。
　とは言え、仮に改変された著作物が「著作者の名誉又は声望を害する」ようなものであった場合でも広く公表しなければ「名誉又は声望を害する」余地は無い訳ですからそれをも禁止しなければならないと言う解釈は説得力に欠けていると言わざるを得ません。しかも、現行の著作権法では「著作者の意に反して」いれば仮に「名誉又は声望を害する」ような改変でなくても（例えば、本のスクラップのようなものでも）全てアウトと判断されてしまいます。
　条文の「著作者の意に反して」を「著作者の名誉又は声望を害する形で」と、ベルヌ条約第6条の2で定められている基準に緩和する改正はたびたび主張されていますが、今のところ実現していません。また、裁判所の解釈が厳格過ぎることもフェアユース規定の欠如が影を落としている結果だと言えるでしょう。

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